多くのバレエダンサーは自身が持つ外反母趾による影響に悩まされていると思います。幼い頃からバレエをし、時には痛みを伴いながらも踊り続け、大人になり母趾に痛みがなくなってはいるものの、その影響は少なからず他の部位に不具合を生じます。前回もお話ししましたが、ターンアウトをし続けることは簡単なことではありません。股関節からターンアウトがしっかりとできなければ、足先だけでコントロールしなければならないことになります。足の接地もうまくいかずにアーチが落ちながらも無理に母趾で押す動きをすることになり、より負担をかけることになるのです。若いダンサーたちには外反母趾を予防するエクササイズをお教室などで取り組むことで将来の悩みを軽減できるのではないかと思います。

一度外反母趾になってしまえば、それと付き合っていかなければなりません。母趾のMTP関節はモビリティ関節です。動きが出なければならない関節の一つです。外反母趾を持つダンサーのMTP関節はねじれにより接地もうまくいかず、動きも制限されているケースが多くあります。“母趾が硬くなって床を押せない”という悩みもよく聞きます。この母趾がしっかりと動きが出ないことにより、モビリティ関節である足関節の動きも悪くなります。また“体重が母趾にかかりすぎて、小趾が浮く”という足裏全体の接地の問題があるダンサーも多いです。ですから、床を押しながら踊る場面だけでなく、同じ姿勢で長く立ち続けなければならないような場面でも、不具合による影響がでるのです。また母趾をたくさん使いすぎて硬くなり、ふくらはぎの違和感が生じるケースも多くあります。母趾のストレッチや接地のエクササイズを取り組むことで、以前より足の使い方が改善されたというダンサーも多くいます。最初のステップとして、日頃から接地を意識しながら、母趾をストレッチして動きをよくしておくことをウォームアップで取り入れて頂ければと思います。

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