当店ではトレーニングをスタートする前に、全体的な身体評価(チェック)をしていきます。個々の“今日はどこがおかしい”“どこが張っている”“数日前に捻った”などという話からスタートしますが、それを頭に入れつつ評価を行います。シンプルな評価をしますが、継続的に行うことで個々の特徴や変化に気がつくことができます。また不具合を生じている患部ばかりに捉われず全体を評価することも大切にしています。クライアント本人としても患部に違和感があり、なんとかして欲しいという気持ちでしょうが、その根本的な原因は他の箇所にあることが多いのです。トレーニングの時間も限られていますので、個々の違いを見つつ、手際よく行うことを心がけています。
バレエダンサーに対しては股関節の外旋のチェックを必ず行います。まずは力を抜いた状態でチェックします。このOKCの状態=足が地に着いていない状態で行うチェックの利点は、“股関節外旋の最大可動域がどれくらいあるのか”を把握することができます。ダンサーの活動のレベルが高ければ高いほど、“股関節外旋可動域が大きく、そしてスムーズ=滑らか“になります。プロのダンサー達はそれが基準となりますので、”滑らかに最大外旋が出ているか”でコンディションもわかります。一般ダンサーではトップレベルと比較するとそこまでの外旋の可動域や滑らかさはありません。これは個人差がありますので、そこを把握することで、その人なりの股関節外旋のアプローチへとつなげることができます。 次にこのOKCの状態でターンアウトし力を入れた時にしっかりと耐えることができるかをチェックします。
最初に私のところでトレーニングに来る多くのダンサーたちはこの状態で耐えることができません。維持できずに、足が落ちたり、上半身を回旋させたり、骨盤を釣り上げて耐えようとします。外旋の可動域が大きく、スムーズであったとしても、地に着いていない状態で耐えられなければ、立位でもうまくターンアウトをコントロールできないでしょう。立位でのターンアウト強化をするためにも、日々の評価からトレーニングへ繋げる過程はとても大切だと感じています。